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zoom RSS 掌編小説 【白い日/金の空】後編

<<   作成日時 : 2007/03/18 22:57   >>

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【白い日/金の空】後編


天空高くにそびえたつ、神の御殿がありました。
神はいつも、お気に入りの王冠をかぶっていました。
無数の煌めく石がうめこまれた王冠です。その輝きは、いつまでたっても失われる事はありません。神のお気に入りですからね。

さてさて、神の使徒達は、その光が羨ましくてたまりませんでした。なにせその光は不思議で、その光を見ていると、なんだかうっとりとした気分になるのですもの。
ある日、新米であった神の使徒が、その光に心奪われ、悪しきおこないをたくらみました。使徒は、神がお召し変えになる時をねらって、椅子の上に置かれた王冠に手を出しました。周りの者は、全く気づきませんでした。新米の者が、そんなことするはずないと、油断していたのでしょう。
使徒は、上手に神の御殿から王冠を持ち出しました。
手には、煌めく王冠。使徒は、その光を見て、うっとりと目を細めました。使徒はくるりと辺りを見回して、誰もいないことを確認すると、王冠を己の頭にそっとのせました。神のお気に入りですから、少しかぶってみたくなったのです。
すると、どうでしょう。王冠を頭にのせた瞬間、さきほどまでの光がぱったりと無くなってしまいました。使徒はびっくりして、慌てて王冠をはずしました。みるみるうちに、光を失った王冠は黒ずんでいきます。
その時、御殿の方から、神のお怒りのお声が響いてきました。王冠が無くなった事に、気づいたのです。
使徒は、急いで御殿から少しでも遠くへ逃げようと走り出しました。あわてていたものですから、手にしていた王冠を落としてしまいました。神の御殿は天空高くある場所です。王冠は、あっというまに下へ下へと落ちていってしまいました。使徒は必死に手を伸ばしましたが、とどくことはなく、泣く泣く王冠が落ちていくのを見ていることしかできませんでした。

それからしばらく、使徒は素直に神へ、自分が王冠を盗んだ事を言いました。
神は、それはそれは使徒をお叱りになられ、お気に入りの王冠を失ったことに涙を流しました。他の使徒が、地上へ王冠を探しに行きましょうか?と申しますと、神はそれを断りました。あの王冠は、他の者がかぶった瞬間、光を失って、もう元には戻らないのだというのです。それは、神がかけた、特別な魔法でした。
その日から神は、別の王冠をかぶるようになったといいます。

さてさて、地上へ落ちていった王冠はといいますと、後々に生まれた「人」が見つけた時には、ただの冠だったそうです。光を放っていた無数の石は全て無くなっていたという事でした。
では、無数の石はどうなってしまったのでしょう。
光を失った無数の石は、ただの石ころとなり、ばらばらに飛び散っていってしまったのです。
海の果てに、底に。
地の果てに、樹木の根に。
谷の割れ目に、泉の中に。
石は散ってしまいました。
地上にいた女神はそれを見て、それが神のお気に入りの王冠についていた石だということに気づきました。女神は、お気に入りの王冠を失って泣く神を哀れんで、ばらばらに散った無数の石を空高く、飛ばしました。それは天空高くにいる神に見えるような高さまで飛ばしたそうです。そして、再び石に、光を与えられました。

その後、光を取り戻した石は、空でいつまでも輝いていました。
人は、漆黒色に染まった空で光る、その石を見て、「星」と名付けたそうです。

…………

……………………

…………………………………



「何だよ、その話し。」

デイダラの話を聞き終えて、サソリの口から出た最初の感想はそれだった。
目的地とは真逆の方向である、この山の山頂へ続く道を歩いていた時に、デイダラが急に話し出したおとぎ話。それはサソリにとって、全く興味の無いものであった。

「何って、星の生まれたお話だぞ、うん」

「くだらねぇな」

サソリは、フンっと、デイダラから顔をそむけた。

「くだらねぇって、旦那はこーゆー話し信じないのかぃ?」

「信じねぇよ。どーせ作り話だろーが」

「わからないだろ?ホントかもしれないし、うん」

「どうだかな。ぜってぇ作り話に決まってる。第一、んな話し誰から聞いたんだよ」

「ず――っと前。どっかの老婆から」

「作り話だ」

「あっ、旦那っ!」

サソリは一言で、デイダラの話を切り捨てると、スタスタと先を歩いた。あわてて、デイダラは小走りで追いかけた。
後ろから、自分の名を呼ばれながら、サソリは思う。いい歳して、何を根拠にあんなくだらない作り話を信じる忍びがどこにいるのかと。いや、現にいるのだが……。

「ったく、呆れる」

しかもそれは、S級犯罪者だときた。人は、見かけや名だけでは判断できないものである。
辺りの木々の茂みが、薄くなってきた。もうすぐ山頂だというのだろうか。人形の身体ゆえ、疲れは感じないが、だいぶ歩いてきた気がする。本来なら、とっくに目的地についているはずだ。どれもこれも……デイダラのせいだ。
無性に腹が立った。

「旦那、ついたぜっ!!」

突然、後ろからデイダラが飛び出し、走り出した。
後ろ髪が、はしゃぐ子供のように揺れている。「ガキだ」と、サソリがつぶやいたのは、デイダラには聞こえなかった。

「ここが、オイラのつれてきたかった所だ、うん!」

振り返り、サソリにむかって、大きく手を広げたデイダラの背には、原っぱが続いていた。
風が吹き渡り、ピクニックの昼食場所にぴったりであろう、場所である。
サソリは、これまた興味なさげに、うなずいてデイダラの方へと歩いた。

「で、ここまで俺をつれてきて、何がしたいんだ?」

「まーまー、とりあえず、ここにねっころがって見てよ、うん!」

「嫌」

「旦那ぁ、そういわずに、な?」

「汚ねぇだろぉが。ってか、何で寝なきゃいけねぇんだ?」

「それはお楽しみだって!ほら、オイラも隣りにねっころがるからっ」

「余計に嫌」

瞬間、サソリの世界がぐらんっと、かたむいた。
ドサッと、にぶい音がしたかと思うと、目に飛び込んできたのは、"空"だった。
漆黒色に染め上げられた"空"というキャンパスである。そして、それに華飾るかのようにまたたく――

「星……」

「な、めちゃくちゃ綺麗だろぉ〜?今夜は星が綺麗な日なんだって!」

いつのまにか、隣りに、おなじくねっころがっていたデイダラが、空を見上げながら言った。

「テメ、俺を押し倒しやがったな……」

「旦那軽いからな♪っと、それはともかく、空眺めようぜ、な。すっげぇ綺麗だから……」

サソリは納得いかなかったが、それでも、デイダラのいうとおり、空を見上げた。
無数に輝く星。山頂ということもあってか、一層美しさがきわだつ。なるほど、こんなんをつけた王冠は、神のお気に入りになるのも無理はないなと、小さく小さく、サソリは思った。

「旦那は、同じ芸術家だからな。自然に対しての感動とかは、まだあるだろ?」

「一応な」

「良かった、うん」

デイダラは笑った。
少しの間があって、サソリは思い出したように、デイダラに聞いた。

「おまえが言ってた秘密ってこれの事か?」

「そうだぞ、うん」

「ふぅん」

「今日は、ホワイトデーだからな。バレンタインデーのお返し、うん」

「何?!お返しだとっ?俺は、あげた覚えなんて全く無いぞ?」

むくりとサソリは起きあがった。その表情は、焦っていた。
デイダラは、「そうだっけ?」と空を見上げたまま首をかしげる。

「でも、たしかに、チョコレート食った気がするんだけどなぁ」

「まさか、てめっ!机の上にあったやつ食ったのか!?」

「あー、それそれ!見た目はすごかったけど、味はなかなかいけてたぞ、うん!」

「なんで食べるんだよ……」

サソリは、片手で顔を隠して言う。
デイダラは、すくっと起きあがると、ポンっとサソリの頭をたたいた。

「誰が作ったのかはしらねぇけど、ちゃんと片づけてないのがいけないんだぜ、うん。まぁ、大体はわかるんだけど……。とりあえず、おいしかった!」

「はぁ。片づけておけば、良かった」

サソリのつぶやきに、高らかにデイダラは笑った。

「っで、旦那はオイラからのお返し、喜んでくれたかぃ?」

「ったりめぇだろぉが。バカ」

「ん〜?顔隠してて、空が見えるのかい?旦那はすげぇな、うん」

「うるせ」

そしてまた、原っぱにデイダラの笑い声が響いたのだった。
二人の影は、しばらくそこで、動くことなく空を見上げていた。





3月14日ホワイトデー、白い日。
煌めく夜空を君と共に。
                  
                        END





<あとがき>
はい、という事で、終了でございます。なんだか、最後の方はあっけなかったきもしますが、これで終了です。
予定では、サソデイでしたが、いつのまにかデイサソティックに……。予定というものは、成功しないものです。
さてさて、初めてブログにのせた小説は、ホワイトデーものでした。っといっても、だいぶすぎているのですが、そこらへんは気にせずに((苦笑。誤字脱字の方、意味の謝りなども見逃し願いたいです。指摘していただけれるのなら、コメントの方へよろしくおねがいします。文章は、なんとなく、かぎかっこが多いような気がしたのですが、これ以上削れませんでした。スムーズに読んでいただけたかが心配です。わかりにくいところなど無かったでしょうか。
この小説を終了したに際して、永生なりに思った事と言えば、デイダラのファンタジー的なところです。多分、あんなおとぎ話、本物のデイダラは信じてないでしょうね; あ、ちなみにあのお話は、永生の勝手な創造のお話なので、信じないで下さい!フィクションですよ、フィクション!!((必死
途中で、イタチと鬼鮫のホワイトデーネタも中途半端にでてきました、はい。こんなのいうのは何ですが、初めてです。イタチと鬼鮫のからみ。いやぁ、勝手な妄想で進めてしまいました、ホント;; 鬼鮫は、あんな乙女チックで良かったのだろうかとか、イタチさんは、あんな接し方をするのだろうかとか、思い起こせば後悔ばかり…。どうせなら、飛段と角都にしておけばと、思うこのごろです。


それでは、前編、後編とおつき合いいただきありがとうございました^^ 
誠の感謝を抱きつつ、今宵はこのへんで。
         
                         永生。

















†    (どうしても、チュウさせたかったので。本編にはいれずに、裏と言うことで。)

デイダラは、顔を隠すサソリの片手を、ゆっくりとほどいた。優しく、ひもをほどくように。
サソリの瞳は、とろんっとしていて、それでいてどことなく強きな瞳であった。デイダラは、そんなサソリの表情に心奪われ、思わず抱いていた願望を口にした。

「……んだよ」

「旦那、食べていい?」

「はぁ!?」

サソリは、デイダラの言葉におもいっきり、声を上げた。デイダラは、しぃっとサソリの唇に人差し指をおく。びくりと、サソリの身体がこわばった。

「俺の身体は、人形だぞ?おまえは正気か?」

「あぁ、正気だ」

デイダラの言葉は、どこか強かった。
サソリは、お手上げだというように、こわばらせた身体から力をぬいた。
お互いの身体が、向き合うような形になる。

「とりあえず、今は唇だけでいーや、うん」

「ふざけんな」

サソリは、照れつつ、素っ気なく答えた。

空気が二人の場だけ、変わる。
どこか張りつめた感覚。
切れてしまいそうな糸。
言葉では表せない、その空気。




サソリは、忘れていた人肌が、唇が触れるのを感じた――――

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